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定期借家契約の「再契約」で気を付けるトラブルとは?

最新更新日 2022年08月26日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

賃貸トラブルの防止や対策として定期借家契約を採用する大家さんや不動産会社は徐々に増えてきています。
定期借家契約についてはこちらの記事で解説しています。
賃貸トラブルの予防に必須な「定期借家契約」とは?

定期借家契約は2つの要件さえ押さえれば締結できるため、一度やり始めれば簡単に導入することができ、あまり新規契約の際にトラブルになることはありません。

定期借家契約を締結するための要件については以下の記事で解説しています。
定期借家で契約するにはどうしたら良いの?

しかし、盲点になるのは普通借家契約の「更新」にあたる「再契約」で、トラブルが発生するのも「再契約」を起因とすることが多いです。

今回は定期借家契約の「再契約」で気を付けるトラブルと対策について解説します。

「再契約」は「新規契約」と同じ!

「再契約」と聞くと、「まあ更新みたいなものでしょう」と、更新手続きと同じように処理してしまうケースが多々見られます。

更新契約は郵送で行うことができ、特約を結んで自動更新としているケースや法定更新になってしまっているというケースもあります。
しかし、定期借家契約にはそもそも「更新」という概念がなく、あくまで契約期間満了をもって契約が終了するのが原則です。

そのため、定期借家契約を理解していない不動産会社の契約書では、「更新」という文言が記載されていたり、自動更新の特約が入っていたりするケースがあり、それらは大きな間違いです。

また、「再契約」という言葉は、法律用語ではなく実務上で使われる言葉です。
あくまで「新規契約」と同じ扱いになりますので、新規契約を締結するために「専用の賃貸借契約書」「賃貸借契約書とは別紙で定期借家契約であることを説明」2つの要件を満たす必要があります。

定期借家契約の2つの要件についてはこちらの記事で解説しています。
定期借家で契約するにはどうしたら良いの?

加えて、郵送して署名捺印した契約書類を返送してもらうだけではなく、対面またはテレビ電話などで説明が必要となります。
最近では電子契約も解禁になりましたので、書面ではなく電子データでも構いません。

郵送で再契約した場合の大きなリスク

不動産会社が郵送のみで再契約を行っているケースもありますが、これは紛争が生じた際に、大きなトラブルに発展する可能性があります。
なぜなら、契約書とは別紙で定期借家契約であることの説明を対面またはテレビ電話等で行わなければ、定期借家契約の要件を満たさず「無効」と判断され、期限の定めのない賃貸借(無期限の普通借家契約)となってしまいます

例えば、初回の契約時は良い人だったが、入居後に同居を始めた人が近隣に大きな迷惑を掛ける不良入居者だった場合や、入居後に様子が変わってきて近隣からのクレームが絶えなくなってしまった場合なども、契約を終了させるためのハードルが大幅に上がってしまいます。
また、契約期間毎の更新料(定期借家契約の場合の再契約料)すらも受領することができなくなってしまいます

私は再契約の機会を通じて、借主や入居者に排水管洗浄や大規模修繕など大きなイベントの周知をしています。
また、宅内や共用部分などでお困りのことや気になっていることはないかヒアリングし、入居者さんの潜在的な不満を解消していくことで、入居満足度を高めて退去率を低減し、長期入居を実現するためのテナントリテンションにもなっていきます。

テナントリテンションについては以下の記事で解説しています。
満室の次に行う空室対策「テナントリテンション」とは?

不動産会社はなるべく業務負担を減らすために再契約を郵送のみで行っているケースがありますが、対面またはテレビ電話で2年毎に借主とお話しすることで、大家さんにとっても様々なメリットが生じます。

再契約に必要な条文・特約事項

先ほど、再契約はあくまで「新規契約」と同じ扱いになりますとお伝えしましたが、全く新規契約と同じ契約書で再契約を行うとトラブルに発展する可能性があります。

それは、「原状回復」に関するトラブルです。
「原状回復」の「原状」とは、いつの状態を原状と呼ぶのでしょうか?

普通借家契約であれば、「原契約(最初の契約)」は何回更新しても最初に賃貸借契約を締結した時を指しますので、原状とは「原契約の始期」となります。
しかし、定期借家契約では最初の契約と再契約後の契約は全く別物となりますので、原状を「再契約の始期」と判断される可能性があります

私は、新規契約時も再契約時も同じ条文の書式を使用していますので、再契約に関する条項に以下の条文を記載しています。

 再契約をした場合は、本契約終了時に第18条及び第19条の規定は適用せず、乙が本物件の占有を開始した賃貸借契約(以下、「原契約」という。)締結時に預託した敷金またはクリーニング代は承継するものとする。なお、乙の本契約における原状回復は、原契約の契約期間の開始日から再契約にかかる契約期間が満了する日までの範囲とする。

※第18条は「明渡し」、第19条は「明渡し時の原状回復」の条項です。

この条文を要約すると、「再契約の際には明渡しや原状回復は不要で、前契約の敷金等を承継し、退去時は最初に入居したときからの原状回復を行ってください」という内容です。
国土交通省が公開している雛形や、不動産会社が利用している賃貸管理ソフトの雛形には類似した条文が入っていることが多いですが、念のため漏れがないか雛形を確認しておきましょう。

まとめ

今回は、定期借家契約の「再契約」にまつわるトラブルについて解説しました。
「再契約」はあくまで「新規契約」と同一なので、「更新」とは異なることを理解しておきましょう。

また、不動産会社が郵送だけで行っているなど、要件を満たさない契約を行っていた場合も、不利益を受けるのは大家さんです。
身を守るためにも、不動産会社が要件を満たしているか確認し、再契約に使用する契約書の雛形に必要な条文は入っているかチェックすることも重要です。

ご愛読いただきありがとうございました。

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