不満のある賃貸管理会社を変更するには?

最新更新日 2023年12月24日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

 
賃貸管理会社は山ほどありますが、家主や入居者から「管理がひどい」「態度が横暴で最悪」と不満を持たれている会社も多く存在し、中には入居者から賃貸管理会社を通さず直接家主に苦情が来るといったケースもあります。

家主としては大切な資産であるアパートやマンションの管理をお願いしている賃貸管理会社が、かえって苦情の対象になるようでは、他の賃貸管理会社に変えたいと思う方もいらっしゃると思いますし、私のもとにはそのような相談が来ています。

では、賃貸管理会社を変えたいと思ったとき、どのようにしたら良いのでしょうか?

事前に確認しておくこと

まずは現在の「管理委託契約書」を確認しましょう。
確認するポイントとしては以下の3つです。

①解約予告期間

多くの管理委託契約では「3か月前予告」となっていますが、中には予告期間が「6か月前」と長く設定されている場合や、契約満了日にしか解約できないと定めてられている場合もあります。

②違約金

違約金の条項は必ず確認しておきましょう。
私の経験上では、悪質な賃貸管理会社ほど違約金の条項が定められていることが多いです。

おそらく違約金というハードルを設けて解約を抑止するためや、解約されても違約金を受領して利益を確保したいという考えからだと思います。
本来はサービスの満足度を高めて解約を抑止し、解約の場合は違約金など取らずに真摯に受け止めて業務改善を行うのが、健全な賃貸管理会社の対応かと思います。

私が見てきた中で最も悪質だったのは、解約予告期間に関わらず、解約金として賃料3か月分に加え、解約事務手数料として5万円(税別)が掛かるというものでした。

③管理委託の金額と業務内容

現在の管理委託料(管理料)が非常に安い場合や、金額は相場通りでも清掃費用や保守点検費用が含まれている場合もありますので、賃貸管理会社を変更した際にランニングコストが増額となる可能性があることを理解しておきましょう。

管理委託契約書がない場合

管理委託契約書がない場合は、以下の3パターンがあります。

①そもそも管理委託契約をしていない
②口頭での契約で書面化していない
③契約書面を紛失している

重要なことは、「管理委託料の支払いの有無」です。
管理委託料を支払っている、または集金管理を委託していて、家賃清算時に管理委託料を差し引きされている場合は、上記②か③となります。

もし管理委託料が発生していなければ、お付き合いとしてクレーム窓口になっているだけで、そもそも管理委託契約が成立していないという可能性がありますが、新しい賃貸管理会社や弁護士に状況を説明して相談してみるのも一考です。

上記③の場合は管理内容を把握する必要がありますので、「管理委託契約書を紛失してしまったので写しが欲しい」と賃貸管理会社に伝えれば送ってもらえます。

賃貸管理会社を探す

まずは様々なポイントを押さえながら調査し、賃貸管理会社の話を聞きながら選別していきます。
こちらは以下の記事で解説していますので、を参考になさってください。

「賃貸管理会社の探し方はどうすればいいの?」

「優良な賃貸管理会社の選び方のポイントは?」

賃貸管理会社の変更方法

変更するためには以下の流れとなり、上記の解約予告期間にもよりますが、基本的には2〜3か月くらいの時間を要します。

管理委託契約の解約通知

担当者がいる場合や、頻繁にやり取りしている場合は、いきなり書面で通知すると角が立ってしまうため、まずは解約したい旨を口頭でお伝えします。

ただ、「もうやり取りしたくない」というぐらい嫌悪感を抱いている場合や、口頭でお伝えした場合も、必ず届いたことが履歴として残せる方法で書面により通知します。
「レターパック」での郵送が到着確認も取れるためオススメですが、悪質な賃貸管理会社や既に揉めている場合は「内容証明」で送付します。

書式は以下からダウンロードできます。
解約通知書(書式)

もし契約締結日がわからない場合は、「〇〇年〇月〇日付」という文言は削除しても問題ありません。
右上の差出人である家主の部分には、管理委託契約書で押印した判子、または賃貸借契約で使用している判子で押印しておきましょう。

新しい賃貸管理会社が決まっている場合は書式にその旨を記載しておいた方がスムーズですが、未確定の場合は確定したらどの管理会社になったか通知しましょう。

新管理会社と管理委託契約を締結

新しい賃貸管理会社を決めたら管理委託契約を締結します。
その際には事前に契約書案をメール等で送ってもらい、解約予告や違約金、業務内容について確認して、問題がないことをチェックしてから契約しましょう。

各関係者に管理会社変更の通知

借主や連帯保証人、借主と入居者が異なる場合は入居者のそれぞれに、管理会社が変わる旨を書面で通知します。

基本的には管理会社変更の1か月前を目安に通知しますが、借主が法人の場合は家賃振込先の変更に必要な期間が2か月近く掛かる場合もありますので、法人の場合は手続きの方法や必要な期間について確認します。

この手続きは新たな賃貸管理会社が行いますので、すべて任せられます。

新旧の管理会社で業務の引継

旧管理会社と新管理会社で業務や書類、物件の鍵などの引継について協議します。

新管理会社で賃貸管理を開始

管理委託契約の開始日から新しい管理会社で賃貸管理が開始します。

最後に

賃貸管理会社の変更方法は以上の通りです。
ストレスの掛かる作業にはなりますが、妥協して関係性を継続するより、一時は大変でも優良な賃貸管理会社での管理が始まると驚くほど様々なストレスから解放される家主が多いです。

もし現在の賃貸管理会社に不満のある家主は、まずは現在の管理委託契約から内容を確認してみましょう。
また、文章のみだと分かり辛い方も多いと思いますので、当社が相談を受ける際のフローチャートをご紹介します。

ご愛読いただきありがとうございました。

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