低圧電気代の削減方法

最新更新日 2023年12月28日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

前回、「エレベーターの経費削減」ということで、エレベーターの保守管理費・保守点検費等の削減方法についてお伝えしました。今回はエレベーターが設置されている建物では必ず契約している「低圧電力」の削減方法についてお伝え致します。

 

具体的な削減方法をお伝えする前に、まずは電気代の基本知識についての解説を行います。マンションで使用する電気には主に2種類あります。

高圧電力・・・共用部分の照明やオートロック等で使用

②低圧電力・・・エレベーターや汲み上げポンプ等で使用

 

おそらくエレベーターの付いている建物を所有されている家主様は、マンション一棟に対して電気代の明細が二通届いていると思います。この低圧電力は、万が一ブレーカーが落ちてしまうと大きなトラブルに発展する可能性があるため、エレベーターや機械式駐車場、給水ポンプなどの機器の容量を積算していき、基本料金を設定する「負荷設備契約」が一般的でした。

容量の積算方式になっている理由は「ブレーカー」にあります。従来のブレーカーを「熱動式」と呼び、電気を使用した際の熱を探知して作動する仕組みになっていたため、正確な電力量を計測することができませんでした。

エレベーターを使用している建物では、1日に数回しか使わない場合でもエレベーターに設定されている最大容量をもとに基本料金が設定されるため、実態と比較すると非常に高額です。しかし、「電子ブレーカー」が開発されたことにより、電力量を計測することができるようになったため、実際の使用量を基準に基本料金を設定できる「主開閉器契約」が可能となりました。

 

つまり、熱動式ブレーカーが設置されている場合、電子ブレーカーに交換し、契約を「主開閉器契約」に切り替えることで、低圧電力の電気代を30~70%ほど削減できる可能性があります。

電子ブレーカーへの交換は本体価格と工事費用、契約変更の申請代行費用等の合計で30~40万円が相場となり、導入費用と削減額で計算すると利回り20%以上になることが多く、中には利回り70%という驚異的な削減に繋がることもあります。

2020年の不動産投資では利回り6%前後での取引が多く見られますので、利回り20%の投資と考えればどのくらい投資効率が良いか腑に落ちると思います。

 

私の経験では、電子ブレーカー2台の導入で工事費用や申請代行費用総額が66万円でしたが、年間約19万円の低圧電気料金削減の試算ができ、利回り29%となりました。

ただし、近年建築された建物はすでに電子ブレーカーが導入されている可能性もあるため、低圧電気料金の明細書を専門業者に見てもらえば電子ブレーカーの有無が確認できます。もし電子ブレーカーの導入がまだであれば、お早目に導入されることをオススメします。

ご愛読いただきありがとうございました。

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