エレベーターの経費削減

最新更新日 2023年12月28日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

当事業部では賃貸マンション・賃貸アパート等の管理委託は一律5%(大型店舗等は除く)で受託しています。不動産業者によっては2~3%で受託しているケースも多々ありますので、お付き合いが始まる前は「高い」とお声をいただくこともあります。

そして、管理を受託させていただき、1~2年ほど経過すると「これだけやってもらえるのに5%は安い」と嬉しいお声をいただくケースが多いです。その理由は、管理を行う過程で建物の状況に応じて、プラスアルファの収益を生み出したり、固定経費を削減したりすることで、5%以上の収支を改善するケースも多いからです。

 

賃貸マンションで設置されている「エレベーター」は特に経費削減できるケースが多い項目なので、今回はエレベーターの「保守管理費」に注目してみたいと思います。

 

 

突然ですが、いま契約しているのはPOG契約とフルメンテナンス契約のどちらでしょうか?

「よく分からない」という方は経費削減のチャンスかもしれません。

 

エレベーターの保守管理契約には2種類あります。

POG契約・・・主に定期点検と簡易的な消耗品の交換やメンテナンスを行う契約です。保守対象外の部品交換や修理は追加費用が発生します。

フルメンテナンス契約(FM契約)・・・POG契約に比べて幅広く交換や修理を無償で行ってもらえる代わりに、月額料金は高くなります。

 

 

では、POG契約とフルメンテナンス契約ではどちらの方が得なのでしょうか?

ほとんどのケースでPOG契約となります。エレベーターは時として人命に大きく関わる機械なので、部品類もそう簡単には壊れません。私の経験上、エレベーターの機械やパーツがPOG契約の範囲を超えて追加費用が発生するケースは数年に1回程度です。

また、契約内容にもよりますが、多くのフルメンテナンス契約では基板等の大掛かりな本体交換工事や意匠工事(エレベーターのカゴ内の内装)は別途費用が発生するため、すべて対応してもらえる訳ではありません。

 

例えば、POG契約で25年の間に250万円の修理・交換費が発生したと想定した場合、1か月に換算すると0.83万円の増額です。しかし、POG契約とフルメンテナンス契約の1か月あたりの差額は3万円が相場となりますので、25年で換算すると900万円も差額が生まれます。

 

つまり、25年で換算すると・・・

削減額 900万円 - 修理費用 250万円 = 実質 650万円の削減

となります。

 

また、重要なのは保守管理を行う「会社」です。エレベーターに特化した保守管理会社はサービス内容が充実し、大手メーカーや大手セキュリティ会社に比べて金額は大幅に削減できます。

私の携わった実例では、大手セキュリティ会社でのフルメンテナンス契約8.8万円(月額)から、エレベーター専門保守管理会社のPOG契約1.98万円(月額)に切り替えて、年間81.84万円の経費削減となりました。25年間で計算すると250万円を差し引いても約1,800万円の経費削減となります。

 

更に、保守管理会社によってリニューアル工事の金額も数百万円の差が付くことは多々あります。また、大手メーカーの製品は定期的に型が変わるため、修理を行う際に部品が生産終了になっていることもあり、部品交換ではなく本体交換となってしまい非常に高額となることもあります。しかし、エレベーター専門の業者では同じ型、または型が変わっても対応できるように製品を製作していることが多く、部品の在庫切れによる修理の遅延が発生しないよう「保守事業協同組合」に加入し、専門業者同士で部品供給を行っているため、安くなる分サービス品質が下がる訳ではありません。

長期的に考えると1,000万円以上の経費削減に繋がる可能性がありますので、ぜひエレベーターの保守管理会社と契約内容を見直してみましょう。

 

参考までに、私がよくお付き合いしているエレベーター専門の保守管理会社は以下となります。

辰東エレベーター工業株式会社

→中小企業ならではのレスポンスや柔軟性で私はメインでお付き合いしています。

 

ジャパンエレベーターサービス

→大手企業で金額は業界内でもトップクラスの安さです。

 

ご愛読いただきありがとうございました。

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