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退去が決まったとき、賃貸募集はいつから開始するのがいいの?

最新更新日 2021年10月09日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

不動産オーナーの多くは賃貸管理会社から「退去通知」が来るととても残念な気持ちになると思います。
空室期間を最小限にすることは大きく収支に影響しますので、「早く空室を埋めたい=早く募集する」と考える不動産オーナーも多いと思います。

賃貸の募集を開始するタイミングは以下の3パターンがあります。
①退去通知が入ったとき
②退去(明け渡し)が完了したとき
③原状回復工事(リフォーム)が終わったとき

では、どのタイミングで賃貸募集を開始するのがベストなのでしょうか?

①退去決定後すぐに賃貸募集するメリット

退去通知が入ってからすぐ賃貸募集すれば最も空室期間を短縮できる可能性があります。
解約予告期間は1か月としているケースが多いので、事前に原状回復工事に掛かる期間が想定できていて、退去通知から明け渡しまでの間に次の入居者が決まっていれば、空室期間は最小限にすることができます。

しかし、私は退去前から募集するのは推奨していません。
その理由としては、以下のデメリットが挙げられるからです。

原状回復工事の項目と期間が分からない

基本的には退去後に室内を確認しますので、それまではクリーニングだけで済むのか、大幅なリフォームが必要なのかが分かりません。

築年数が浅くてタバコも吸わないなどある程度の推測ができる場合にはこのリスクは大きくありませんが、築20年以上の場合は想定を外れるケースもあるためリスクが生じます。

私が過去にお部屋探しで携わった案件で、実際に退去予定の物件の申込を行い、退去直前に給湯器が故障して契約開始日や引越し日を変更してもらったことがあります。
その時はお客様も納得していただけましたが、中には炎上してしまうお客様もいます。

一度決めた入居日を後から変更する場合、すでに手配した引越し業者やライフラインの変更が必要となり、住居の解約を行っていることも多々あるため、怒ってしまう方は珍しくありません。
仮に入居に至ったとしても関係性に傷が付いていると入居後に様々なトラブルの要因となります。

賃貸条件で選ばれると賃貸条件で離れる

室内を見ていないということは、
・広さに対して賃料が安かった
・賃料の割に立地が良かった
・設備が充実していた

などの相対的な「条件」によって選ばれているため、物件が持つ本来の魅力やインスピレーションなどは度外視されます。

結果として、他に賃貸条件の良い物件が見つかると出て行ってしまうケースが多く、長期的にみると短期解約が増える傾向にあります

私の経験上では、内見せずに申し込むケースで長期入居に繋がったケースはほとんどありません。
家主にとって空室期間や原状回復費用、成約時の手数料などは大きな支出となりますので、いかに長期入居を増やすかが健全な賃貸経営には必要になります。
そのためにはテナントリテンションだけでなく、入居時にどのような入居者と契約するかも大事になってきます。

人柄の選別が困難

元付業者(家主が賃貸募集を依頼した不動産会社)に直接来店したお客様からの申込であれば、ある程度会話の中から人柄を判断できますが、客付業者からの申込だと直接会うことがないので人柄の判断ができません

また、内見時の扉の開閉、歩き方、立ち振る舞いなども大きな判断材料になりますので、それらが抜けてしまうと人柄の判断の精度が落ちてしまいます。

②退去(明け渡し)直後から賃貸募集する

上記①で挙げたデメリットは全て回避できますし、室内の破損・汚損があまりなければこの状態で賃貸募集を開始するのがベストの場合もあります。

特に季節要因は大きく、2~3月の繁忙期には募集開始が1週間違うだけで成約に多大な影響を及ぼすことがありますので、事前に募集の準備だけ行って、退去が完了したときの状況ですぐに賃貸募集を開始するかどうかを判断する必要があります。

反対に、繁忙期の引越しは転勤や進学、新卒入社などが関係していることが多く、契約開始日の変更は大きなトラブルの要因となる可能性があるため、退去前に募集を行うのは非常に危険です。

推奨する募集のタイミング

私は繁忙期など特殊な事情がなければ、「③原状回復工事(リフォーム)が終わったとき」がベストだと考えています。

なぜなら、賃貸募集を開始して1週間以内というのは一番鮮度が高い状態で、それまでピンと来る物件がなく探し続けている方や探し始めて間もない方にとって一番魅力的に感じる状態であり、そのときにどれだけ魅力的にアピールできるかは早期成約の大きな要となります。
最初の1〜2週間を過ぎてしまうとズルズル空室期間が伸びてしまうことがあり、1か月を超えてしまうと更に決まり辛くなってしまいます

もちろん原状回復工事が終わった後だからといって確実に成約する訳ではありませんが、
・生活臭や汚れの除去(クリーニング)
ホームステージング
綺麗な状態での写真撮影
といった印象に大きく左右する要素を抑えておくことで、結果的に短期で成約できる可能性が高まります。

また、室内の状況は家賃にも影響しますので、クリーニング前なら決まらなかった賃料も上記のような取り組み後だから決まったというケースも多いです。
例えば、月額3,000円の違いも2年間では72,000円となるため、原状回復に要した期間分と大差がなくなる可能性があります。さらに更新(再契約)するか否かで収支への影響は大きくなります。

エイブラハム・リンカーンは「もし私が木を切りたおすのに8時間与えられたら、斧を研ぐのに6時間かけるだろう。」と言いました。
「空室の成約」という結果に対して、すぐに募集を開始するのではなく、しっかり準備をしてから募集した方が達成できる確率が上がると言い変えることもできます。

早く募集して早く決めたい気持ちを抑えて、俯瞰した視野から空室対策を考えてみることも検討してみましょう。
ご愛読いただきありがとうございました。

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