賃貸管理会社によって入居率は変わるのか?

最新更新日 2023年12月24日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

 

家主として最も経済的に頭を悩ませるのが「空室」です。
「空室が少ない=入居率が高い(稼働率)」となりますので、なるべく満室になっている期間を増やして、入居率を上げていきたいというのが家主の皆さんに共通していえる目標です。

では、家主のパートナーである賃貸管理会社によって入居率に影響はあるものなのでしょうか?
まずは「入居率」という考え方からみていきましょう。

入居率(稼働率)の計算方法は?

入居率はその名の通り「入居している割合」となりますが、以下の3つの考え方があります。

①その時点での入居率

入居率を指すその時点で10世帯中9世帯が入居していれば90%となり、50世帯中49世帯が入居していれば98%となります。

②一定期間での入居率

1年間で算定することが一般的ですが、その場合は「年間入居率」と呼びます。
例えば1年間のうち、10世帯中の1世帯が3か月間だけ空室の期間があった場合、97.5%となります。

※空室期間3か月=入居期間9か月・・・9か月÷12か月=該当世帯の年間入居率75%
※該当世帯75%+他9世帯合計900%=975%÷10世帯=1棟あたりの年間入居率97.5%

③免責する空室状況を定めた一定期間での入居率

上記②に加えて、リフォーム期間や何等かの事情で貸し止めしている場合は、その期間は募集したり賃貸したりすることができないため、それらの期間を免責とします。

例えば1年間のうち、10世帯中の1世帯が3か月間だけ空室の期間でしたが、その3か月間のうち2か月間はリフォームに要して免責とした場合は、年間入居率99.16%となります。

※計算は上記②と同様です。

入居率を上げる「空室対策」の提案と取り組み

入居率に最も大きく影響するのはやはり「空室対策」です。
空室対策にはすぐ出来るもの、時間を掛けて行うもの、費用が掛かるもの、無料で行えるものなど多岐に渡ります。

最近は家主の勉強会などが全国で開催されていますが、本来はプロとして賃貸管理会社が様々な空室対策を調べたり、編み出したりして、家主に提案していくことが求められます。

また、内見時も客付業者に任せっきりの「現地対応」「鍵取り」ではなく、「立会」で鍵を開けて終わりでもなく、「立会」で賃貸管理会社が自ら物件の魅力を丁寧にアピールするか否かで成約率にも影響するため、やはり賃貸管理会社によって入居率には大きく影響します。

※客付業者・・・お部屋探しを行う借主側の仲介業者
※現地対応・・・現地にキーボックスを設置して鍵を入れておき、客付業者に解除番号を伝えて内見してもらう
※鍵取り・・・自社か近隣の不動産会社で客付業者に鍵を貸し出す
※立会・・・賃貸管理会社のスタッフが鍵を開けに行く

空室募集する際に実施される内見方法については以下の記事で解説しています。
空室募集で行われる3種の内見方法と問題点

私が管理するマンションの家主の中には、借主から申込が入ったら「アンケート」を実施して、審査の判断材料にしている方もいます。
その中には「管理会社の接客対応」について触れられていることも多いと感じていて、賃貸管理会社からあえてマイナスポイントや注意点を説明したり、お客様の状況に応じた提案を行ったりする姿勢も、借りる側からすると大きな判断材料になると実感しています。

入居率を上げる「テナントリテンション」

私が空室対策以上に大事だと考えているのは「テナントリテンション」といって、既存の入居者の入居期間を延ばし、退去を減らしていくという考え・手法です。
退去がなければ空室も発生しないため、家主にとって最も魅力的な取り組みです。

しかし、残念ながら多くの賃貸管理会社ではテナントリテンションは行いません。
なぜなら不動産会社にとっては「入退去するときが最も儲かる」からです。

ちゃんと既存の入居者の満足度を高めていくことができれば、平均の居住年数は延びていきますので、その分だけ空室が減って入居率が高まっていきます。
そのための手法は様々ありますが、共用部分の維持管理や入居者トラブルの未然防止と早期解決は基本中の基本で、意外とそれができてない賃貸管理会社も多く見かけます。

テナントリテンションについては以下の記事で解説しています。
満室の次に行う空室対策「テナントリテンション」とは?

賃貸アパート・賃貸マンションの空室率

空室率については総務省統計局の公開している「住宅・土地統計調査」、公益社団法人日本賃貸住宅管理協会の「日管協短観」、株式会社タスの空室率TVIなど様々な指標がありますが、いずれにしても人口減少に伴って空室が増加していく傾向は各地でみられると思います。

東京都の場合、特に23区はしばらくの間空室率が一気に増加することはないかもしれませんが、私が肌身で感じているのは「選ばれる物件」と「選ばれない物件」の差が徐々に激しくなってきているように感じます。

特にこのブログを書いている今現在の新型コロナウィルス蔓延によるコロナ禍では、テレワークの普及で都心離れするケースが少しずつ増えています。
在宅ワークのためのスペース確保で狭小ワンルームなどは退去が多く、狭小ワンルームは募集しても決まり辛い傾向があるように感じます。

最後に

賃貸管理会社がいかに家主に対して空室対策を提案して一緒に取り組み、テナントリテンションによって退去を減らしていくかに努めていけば、入居率は各段に向上します。
私が賃貸管理している家主の一例では、「リフォーム期間を除いた年間入居率」は99%を超えている方もいらっしゃいます。

また、新築に住んでもすぐに慣れてしまいますので、結局は設備が新しい、グレードが高いなど建物自体の「ハード面」は慣れてしまうため、長期入居に影響しません。
反対に、築年数や室内の設備が古い物件の方が、居住年数が延びるという統計データもあります。

大事なポイントは、何かあったらすぐ対応してくれる、変な入居者が住んでいない、普段から維持管理に努めている、家主や賃貸管理会社の対応が心地よいなど、「ソフト面」が充実した物件に誰しもが住みたいと考えますので、そのような物件作りを目指していくことだと思います。

それらを考えると、ソフト面を充実させられるか否かは賃貸管理会社の影響が非常に大きいため、入居率にも大きく影響します。
ご愛読いただきありがとうございました。

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