賃貸募集を自分で行う方法とは?

最新更新日 2023年12月27日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

 
家主の中には空室で頭を抱えて「何とか自分の力で満室にせねば!」と考えた方、経費を削減するために「自分で借主を見つける方法はないか?」と考えた方などもいらっしゃると思います。

賃貸募集を自分でやるための方法は?

主には以下のような方法があります。

①専用サイトを使って借主を探す

代表的なサイトは「ウチコミ」や「ジモティー」です。

家主自身がサイトに投稿して、お部屋探しの方から問い合わせが来たら直接やり取りを行います。
「ウチコミ」では賃貸借契約のみエリア毎に提携している業者に契約書類作成と契約を行ってもらい、手数料を不動産会社に支払います。

「ジモティー」では全てを家主自身で行う代わりに、基本的には無料となります。

②SNSを使って探す

FacebookやTwitter、LINEなどを利用した方法です。
物件紹介を記事として投稿し、直接問い合わせなどを対応して契約を行います。
広告の課金をしなければ無料で行うことができます。

③知人や友人を通じて探す

かなり原始的な方法ですが、知人や友人に直接連絡して、本人やその知り合いなどを探します。

余談として、電柱や置かれたカラーコーンに「未公開物件!」「特選物件!」と広告が貼られているのを見かけたことがあると思います。
その広告のほとんどが道路交通法違反になりますので真似しないように気をつけましょう。

自分で入居付けして賃貸借契約をするには免許が必要?

では、上記のような方法で家主自身が募集活動を行い、契約を行う場合は、宅地建物取引業の免許は必要なのでしょうか?

答えは、「不要」です。
不動産取引とは、主に「賃貸」「売買」「交換」があり、それらの取引への携わり方として「自ら」「代理」「媒介」があります。
その中で、「自ら賃貸」だけは宅地建物取引業には該当しないため、免許は不要となります。

自分で賃貸募集するメリットは?

家主が自分で賃貸募集する場合には、代表的なもので以下のようなメリットがあります。

仲介手数料や広告料など手数料が無料

「ウチコミ」など手数料が掛かるものは除いて、契約に掛かる費用は無料となります。

家主自ら物件の魅力をアピールできる

家主自身が「もっと良い写真を多く掲載してほしい」「アピールポイントとしてこの文言を入れてほしい」と考えても、不動産会社に言い辛かったり、言ってもなかなか対応してくれなかったりというケースがあります。

家主自ら自由にアピールすることができますので、その煩わしさから解放されます。

家主が直接借主と契約するか判断できる

不動産会社に任せた場合、書面上では事前に確認していても、契約後に初めて借主や入居者と会うことがほとんどです。

自ら行うことで内見も家主が対応することになりますので、
・質問が多い→(細かい人だから契約するのは嫌だな)
・値下げ交渉が強い→(入った後も言ってきそうだからやめておこう)
・見た目が不清潔→(お部屋も汚されそうだから断ろう)

などと自ら判断することができます。

自分で賃貸募集するデメリットは?

では、反対に家主が自分で賃貸募集する場合のデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
代表的なものは以下となります。

契約書類の作成や手続きを自分で全て行う

すでにお伝えしましたが、家主が自ら賃貸する場合は宅建業法の範囲外となりますので、定期借家契約など特殊な契約でない限りは、極端な話で言えば契約書類の作成も不要となります。
民法上では、賃貸借契約は「諾成契約」といって、口頭で貸し借りを約束するだけで契約は成立してしまいます。

しかし、口約束だけでは「言った・言わない」というトラブルの元になってしまうことは容易に想像できますので、契約書の作成は必ず行う必要があります。
また、借主が加入する火災保険も契約期間中に解約されることを防ぐために、家主自身が手配する必要があります。

さらに、家賃保証会社への加入も契約条件とする場合は、その手続きも行う必要がありますので、思いのほか大変な作業となります。

賃貸トラブルの対応も家主自身で行う必要がある

不動産会社が仲介を行わないということは、賃貸借契約に関するトラブルは全て家主自身で対応しなければいけません。

また、万が一入居中にトラブルが発生して不動産会社に仲立ちになってもらおうとしても、不動産会社としてもボランティアで引き受ける訳にもいかないですし、仮に不動産会社が報酬を受領して紛争の仲立ちになった場合は「非弁行為」という弁護士法違反に該当してしまう可能性もありますので、引き受けてくれません。

家主自身で解決できない場合は専門家である「弁護士」に依頼することになりますが、弁護士が出てくると借主も警戒して弁護士を立てることは珍しくないため、「調停」や「訴訟」に発展してしまうケースもあり、不動産会社から見れば小さな問題だったものが、大きな問題に発展してしまう可能性もあります。

最後に

私の考えとして、家主自身も元々はどこかの不動産会社に任せていたのだと思います。
でも、「対応が悪い・遅い」「空室が埋まらない」といった様々な悩みを抱えて、「自分で何とかしなければ!」と一念発起したのだと思います。

それは同じ不動産業者としてとても悲しいことですし、私から見て決してプロとは言えない同業者も数多く見てきました。
少しでも不動産業者の意識と実力が向上し、一人でも多くの家主が最適な賃貸経営を実現できるようになることを祈っています。

ご愛読いただきありがとうございました。

PREV
NEXT